新型コロナウイルスの流行で世間はわやわやですが、
映画の日なので映画を観てきました。
岩井俊二監督の「ラストレター」。
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松たか子ファンなので観に行ったのですが、
想像を越えたヘビー展開にボロ泣き( ノД`)…
松たか子さんの姪と、姉の青春時代を演じた広瀬すずさんがいい演技でした。

姉の死を知らせるために行った姉の同窓会で、学年のヒロインだった
姉と間違われてしまい、死を伝えられないまま帰る羽目に…という
ところから話は転がっていくのですが、「手紙を書く」という行為が
好きな人間なら、行き来する手紙の内容だけで、もう、たまらないです。

松たか子さんの青春時代を演じた森七菜さんと、
初恋の先輩を演じた神木隆之介くんの初々しいやり取り、
そして、現代の先輩を演じた福山雅治さんの、
いい具合に枯れた冴えないおっさん具合が絶妙で。

でも、姉と先輩が付き合っていたことも、なぜ別の人と駆け落ちのような
結婚をしたのかも、知らないヒロインは、切ないなぁと思いました。
先輩が書いた唯一の小説のことも、ヒロインは知らなかった。
その小説は、姉と先輩の青春の思い出を書いたものだった…というね。
逆に、姉の娘はその小説を読んでいて、それも、何度も何度も読んでいて、
作者の名前も覚えていて、間違いで届いた手紙の差出人を、
「あの人だ」と見抜いて、母になりすまして返事を書いちゃうというね。

行き交う手紙のやり取りは、それぞれの思いが交錯して切なくて、
ちょっと興味本意でやってみたこと、言ってみたことが、
あとでじわじわ響いてくる的な。
先輩を好きなのに、「お姉ちゃんにラブレター書けばいいのに」とか
言ってしまう、自分への自信のなさとか、哀しいな、と思いました。
先輩が姉に恋する、まさに「恋に落ちる」瞬間が分かりやすすぎて、
でも、あれはねぇ、落ちるよねぇ、というね。

でも、優等生だったヒロインの姉が、なぜ豊川悦司演じる屑野郎と
駆け落ちしちゃったのかは、わからなかったなぁ。
先輩もそれはわからなかったみたいだし、
先輩が姉の記憶を辿りながら仙台を旅して回る中で出会う風景や人が、
ほとんど美しいのに、駆け落ち相手だけはすごい屑っていうね、
ヒロインが「あなたが結婚してくれていれば」と言うのだけれど、
屑野郎は「お前と美咲が結婚しても何も生まれなかった」とか、
先輩に平然と言っちゃうんですよね。
ヒロインにとっては今でも「憧れの人」な先輩だけど、
屑野郎にとっては、妻の元彼のつまらない男扱いという。

ヒロインの旦那さんは漫画家らしく、ちょっとこの人も風変わりで、
何でこの人と結婚したんだろう?的なねぇ。
姉妹ふたりとも、結婚に「?」が残るような。
でも。結婚なんて、案外そんなものなのかもしれないですよね。
どこかで妥協しながら暮らしてる、的なね。
(もちろん。円満なご夫婦もたくさんいらっしゃるけども)

「初恋」という青春のきらめきを撮る、という意味では成功してるとは
思ったけど、ヒロインの姉が、なんか気の毒で、泣けましたね。
何でそうなっちゃったんだろう…というね。

ロケに使われた仙台の景色はとても美しく、印象的なショットが多かったです。
もう少しほのぼのした話を期待していたので、そこは、
松たか子主演じゃなかったらつらすぎたかも(^^;
やはりね、姉の自死という設定はね…。

豊川悦司と福山雅治が、酒呑みながら話す場面は、
本当にトヨエツの屑加減に何発か殴りたくなりました。
(つまり、とてもうまかったです、演技)

岩井俊二作品は、同じ松たか子さん主演の「四月物語」しか観てなくて
作風とかよく知らずに行ったので、ちょっと油断してました。
あー、こういう、グサッとくる作風か(^^;と。
でも、娘世代のふたりの芝居がかわいくて、そこは和みました。

取り壊しになる学校…というのも、ロマンありますよね。
状況設定が、なるほどなぁ、と思わされた。

でも、やはり「姉の自死」というのは、受け止めるには重すぎたかな。
「泣ける」でも、ちょっと泣く意味がね、違ってくる、というね。
あ、でも、クスッとなる場面もたくさんあったんですよ。一応。
まぁでも私は、リピートはしないかなぁ。
つらすぎた。